障がい福祉サービスの就労継続支援B型や放課後等デイサービスを開業するにあたっては、
サービスを提供する場所を選定しなければなりません。
施設系のサービスを行う場合、物件探しはとても重要です。
既に物件を所有されているというケースはまれで、
たいていのケースでは既にある不動産を賃貸することが一般的です。
しかし、目ぼしい物件を見つけるのはなかなか難しい。
目ぼしい物件があったととしても、
指定を受けるための要件を満たすものでなくてはいけません。
ですから、申請先との事前協議で承諾を得るまでは、
仮契約に留めることが望ましいです。
弊事務所では開業物件に関するご相談や物件調査等も承っておりますが、
ここでは、放課後等デイサービスの開設を例に、
物件探しのポイントについて簡単に説明していきます。
| 物件選定のポイント | 各サービスに必要な設備の確認 | |
物件選定のポイント
まずは、 ご自身が提供したいサービス内容を念頭に
物件探しを行うことになるのですが、
単にそれだけで物件を決めてしまうと
事業開始の指定(許可)が下りない!なんてことになりかねません。
事業の指定を受けるためには設備に関する基準というものがありますので、
それも同時に満たす物件でなくてはなりません。
また、都市計画法や建築基準法、消防法等の各種法令の要件も
満たしている必要があります。
基本的に物件探しは、希望を伝えて不動産屋さんにお任せすればよいのですが、
不動産屋さんは、こういった設備基準等をご存じない場合が多いですので、
設備基準等を満たすものであるのかどうかをご自身で確認しなければなりません。
各サービスに必要な設備の確認
各サービスの指定を受けるにあたっては、
障害者総合支援法や児童福祉法等の法律や
都道府県の条例等で定められた「設備基準」を
満たしていなければなりません。
例えば、「放課後等デイサービス」では次の設備が必要となります。
1.指導訓練室(10人定員の場合概ね30㎡以上必要)
2.事務室
3.相談室
4.洗面所・トイレ
5.静養室
※申請する自治体により異なる場合があります。
>> 放課後等デイサービスの設備要件について詳しくはこちらをご覧ください。
利用者の定員により必要なスペースは異なりますが、
必要なスペースが確保できるのか、
どの程度リフォームが必要なのかを
考えながら物件を選定する必要があります。
以前も同様の施設で使用していたのであれば、
そのまま使用できる場合もあるでしょうが、
そのようなケースは非常にレアです。
たいていのケースでは、
飲食店であったり、事務所としての使用だったりと、
何らかのリフォームが必要になります。
また、あとで説明しますが、
物件の面積が100㎡以下か100㎡を超えるのかで、
建築基準法上の用途変更が必要となる場合がありますので、
その点を注意する必要があります。
面積が100㎡を超えるか超えないのかも、
物件選定の1つのポイントとなります。
用途地域の確認(都市計画法)
都市のどの場所にどんな建物を建築できるのかは、
都市計画法という法律に基づき都道府県や市町村が独自に定めています。
都市計画法では都市を大きく次の2つの区域に分けています。
市街化区域 … 優先的かつ計画的に市街化を図るべき地域
市街化調整地域 … 市街化を抑制すべき地域
つまり、市街化調整区域では原則として新たに建物を建築することができませんので
放課後等デイサービスの開設はできないということになります。
そして、市街化区域については更に12の区分に分けられています。
これを用途地域といいます。
用途地域ごとに建築できる建物が定められているのですが、
放課後等デイサービスの開設については、
ほとんどの地域での開設が可能です。
ですので、市街化調整区域内であれば、
用途地域をそれほど気にする必要はありません。
用途地域については、
物件のある市町村の都市計画課等で
確認することができます。
>> 都市計画法上の用途地域について詳しくはこちらをご覧ください。
用途変更が必要かどうか(建築基準法)
既存物件での開業を考えたときに、
まず、その建物が建築確認や完成後の検査を受けていたのかを
確認する必要があります。
それを確認する書類が「建築確認済証」や「検査済証」となります。
また、建物は建築する際に、「住居用」、「商業用」など、
どのような目的で使用するのかに応じて建築物の構造基準等が異なります。
これを建築基準法では「用途」といっています。
放課後等デイサービス等の福祉施設の用途は、
「児童福祉施設等」という名称となり、
これは建築基準法上、「特殊建築物」といって、
不特定多数の方々が出入りする施設ですので、
一般の建築物よりも厳しい制限を受けることになります。
そして、変更後の用途が「特殊建築物」であり、
その変更部分の床面積が100㎡を超える場合には、
「用途変更」という建築確認申請が必要となります。
用途変更が必要な場合、
専門知識をもった建築士等に依頼をする必要があります。
この場合、建築基準法以外にも条例等の基準も致す必要があり、
費用も数十万円から100万円程度かかります。
ですから、先にも書きましたが、
既存建物を利用する場合には、
100㎡を超えるか超えないかが
ひとつのポイントとなります。
>> 建築基準法上の用途変更について詳しくはこちらをご覧ください。
放課後等デイサービスの開業をお考えの方へ
弊事務所では大阪府・和歌山県を中心に、
児童発達支援事業や放課後等デイサービスの開業の支援をしております。
法人設立から物件の選定、人員・設備等に関するご相談、
指定申請、加算届出まで一貫して対応しております。
(一部、建築士や消防設備士さんに対応して頂くものもございます。)
障がい児さんの支援をする事業をお考えの方は、
ご遠慮なく弊事務所までご相談ください。
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